2018年度改定から、DPC対象病院でも後発医薬品使用体制加算が算定できるようになりましたね。

 

 

後発医薬品使用体制加算はDPCの機能評価係数Ⅰに該当するので、4月から算定するべく施設基準の届け出を行うところです。

 

 

で、後発医薬品の使用割合を出す必要があるわけです。今までは、あー、DPC病院には関係ない加算なんだ、、、とスルーしてました。

 

 

、、、のですが、突然、計算しなければならなくなり、、、薬剤部に確認しても「無理、出せない」と知らんぷり。お前らの稼ぎっちゃあそうだろ、と怒り心頭でしたが、、、とにかく、うちの医事系システムにしても一発で上手く計算できる仕組みがないので、あれこれ頭を使って計算しました。

 

後発医薬品使用体制加算

 

 

そこで!

 

 

今まで外来も含めた後発医薬品の使用割合を出したことがなかった、そんなDPC対象病院の方で、計算方法がわからないという方向けに、

 

 

後発医薬品使用体制加算の届け出に必要な後発医薬品使用割合の計算方法をお教えします。

 

 

 

ざっくりした説明になりますが、、、

 

 

 

1.準備するデータ

 

 

まず、自院の薬剤使用量をExcelなどの表計算ソフトで扱えるファイルとして抽出します(csvとかtxt)。

 

 

表中に必要な項目としては、

「医薬品名称」(正式名称でもシステムの表示名称でも可)

「薬価基準収載医薬品コード」

「使用量」

可能なら「薬効分類番号」

 です。

 

 

この表を『Ⅰ自院の使用量』ととりあえず呼びます。

 

 

ちなみに、うちのシステムがそうなんですが、「薬価基準コードと薬効分類番号」を「使用量」と一表に出力できない場合は、マスタ一覧などの薬価基準コードが載っているものを出力して、それと使用料の表とをエクセルのvlookup関数でぶつける必要があります。

 

 

使用量は入院・外来の合計で構いませんが、薬剤部から後発に切り替える医薬品を選定するのにデータが欲しいということで別々に出力しました。 あくまでも計算は入外合計の使用料を用います。

 

 

 どの医薬品が後発品なのか、という定義については、厚生労働省のホームページに資料があります。

 

 

コチラ↓

薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(平成30年4月1日適用)

 

 

で、下~の方の「5.その他(各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報)」

のところのエクセルファイル(2,340kb)をダウンロードして保存しましょう。

 

 

このエクセルファイルを『Ⅱ先発後発区分by厚労省』と呼びます。

 

 

このエクセルの「各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報」というところにある数値が、、、

1:後発医薬品がない先発医薬品(後発医薬品の上市前の先発医薬品等)

2:後発医薬品がある先発医薬品(先発医薬品と後発医薬品で剤形や規格が同一でない場合等を含む。ただし、全ての後発医薬品が経過措置として使用期限を定められている場合を除きます。後発医薬品と同額又は薬価が低いものについては、「☆」印を付しています。)

3:後発医薬品(先発医薬品と同額又は薬価が高いものについては、「★」印を付しています。)

、、、という、厚労省指定の分類です。

 

 

ここからはExcelの関数であるvlookupを使用しますので、???という方は自力で調べてくださいね(笑)

 

 

『Ⅰ自院の使用量』をエクセルで開きます。新しいシートに『Ⅱ先発後発区分by厚労省』を貼り付けます。

 

 

で、もとの『Ⅰ自院の使用量』のシートに列を足して、タイトル行に【先発後発区分】とでも名前を付けます。

 

 

その列に、薬価基準コードをキーとして『Ⅱ先発後発区分by厚労省』から先発後発区分を引用します。

 

 

これで自院の薬剤に厚労省定義の先発後発のフラグが立ったわけです。

 

 

これで後発医薬品使用率が出る!(^^)!

 

 

、、、と喜ぶのは早計です”(-“”-)”

 

 

 

 

2.後発医薬品使用割合の算出方法から除外する医薬品

 

 

後発医薬品使用体制加算の施設基準に、後発医薬品使用割合の算出方法から除外する医薬品が明示してあります。

 

 

(ア) 経腸成分栄養剤

エレンタール配合内用剤、エレンタール P 乳幼児用配合内用剤、エンシュア・リキッド、エンシュア・H、ツインライン NF 配合経腸用液、ラコール NF 配合経腸用液、エネーボ

配合経腸用液及びラコール NF 配合経腸用半固形剤

(イ) 特殊ミルク製剤

フェニルアラニン除去ミルク配合散「雪印」及びロイシン・イソロイシン・破倫除去ミルク配合散「雪印」

(ウ) 生薬(薬効分類番号 510)

(エ) 漢方製剤(薬効分類番号 520)

(オ) その他の生薬及び漢方処方に基づく医薬品(薬効分類番号 590)

 

 

これらの薬剤は今後の計算に使わないので、大胆に削除してしまいましょう。

 

 

 

 

3.規格単位が1でない医薬品

 

 

 

計算に用いる使用量というのは、あくまでも、いわゆるレセプト請求に用いる数量です。

 

 

錠剤やカプセルなら1個で数量1とわかりやすいですよね。

 

 

粉薬5gなら数量5。 まあわかる。

 

 

点眼薬なんかについては、単位が”本”のものと”ml”のものがあったりして、1本が単位のものなら1本処方すると数量1、mlが単位のものなら、5ml入り1本で数量5。

 

 

、、、となにやら腑に落ちないこともなくはありませんが、それはさておき。

 

 

いくつかの薬剤について、規格単位が1以外のものがあります。

 

 

薬価基準で金額を見ると、「10g〇〇円」とか記載されているものがありますよね。 それです。

 

 

それに該当する薬剤の場合、10g〇〇円なら、数量を10で割って、使用量に用いる必要があるんですね。

 

 

え? 規格単位が1以外の薬剤はどうやって調べるのか、ですって?

 

 

実は、私、まとめちゃいました。

 

 

たまたまこのブログをご覧いただいているアナタに特別に提供させていただきます。

 

 

規格単位が1以外の薬剤(csv)

 

 

どうぞ、ご自由にダウンロードしてください。 ただし、表の内容について、間違っているとは思いませんが、あくまでも自己責任でご利用くださいね。

 

 

さて、「Ⅰ自院の使用量』のシートに列を足して、タイトル行に【規格単位】とでも名前を付けます。

 

 

ダウンロードしたcsvをⅠの新規シートに張り付け、またまた薬価基準コードをキーとして規格単位を引用します。

 

 

そして、使用量を規格単位で割ると、これで今回の計算に用いる使用量の値が完成しました。

 

 

 

 

4.後発医薬品使用割合の計算

 

 

さて、ようやく、後発医薬品使用割合、という答えを導き出すときが来ました。

 

 

あとは、フィルタで絞り込んで足すだけです。

 

 

先述の厚労省の定義する「各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報」のページに、計算の仕方が載っています。

 

 

後発医薬品の数量シェア(置換え率)=〔後発医薬品の数量〕/(〔後発医薬品のある先発医薬品の数量〕+〔後発医薬品の数量〕)

 

 

つまり、

 

 

〔3で分類される品目の数量(★を除く)〕/(〔2で分類される品目の数量(☆を除く)〕+〔3で分類される品目の数量(★を除く)〕)

 

 

3とか2とかなんだっけ? という方のために再掲↓

 

1:後発医薬品がない先発医薬品(後発医薬品の上市前の先発医薬品等)

2:後発医薬品がある先発医薬品(先発医薬品と後発医薬品で剤形や規格が同一でない場合等を含む。ただし、全ての後発医薬品が経過措置として使用期限を定められている場合を除きます。後発医薬品と同額又は薬価が低いものについては、「☆」印を付しています。)

3:後発医薬品(先発医薬品と同額又は薬価が高いものについては、「★」印を付しています。)

 

 

必要なのは、2と3だけ。

 

 

エクセルのフィルタで2だけに絞り、使用量を合計します。

 

3も同様に。

 

 

そして、数式を入れてもいいですし、メモって電卓たたいてでもいいので、

 

 

3÷(2+3)に100を掛けて、出た結果が後発医薬品使用割合です。

 

 

、、、長文となりましたが、お分かりになりました?

 

 

お役に立てたなら幸いです。